生成AIの費用とは、ツールの利用料と、使い方を覚える人の時間と、必要なときだけ頼む外部支援費を足した合計です。料金の相場でいちばん目につく利用料は、無料で試せるプランがあり、有料でも1人あたり月数千円台からが中心です。中小企業が最初にかける金額は、これより小さく収まることも多くあります。1人分だけ契約して、まず1業務で試せるからです。分かれ目は金額の大小ではなく、かけた費用に見合う時間が自分の会社で浮くかどうか。その計算は、自社の件数と作業時間があればできます。
Summary / この記事の要点
生成AIの費用は3つに分かれます。ツールの利用料、使い方を覚える人の時間、必要なときだけの外部支援費です。利用料は無料プランがあり、有料でも1人あたり月数千円台からが中心です。
最初にかける金額は小さくできます。無料で試す、よく使う1人だけ有料にする、止まったときだけ外部に頼む。この順なら、使い物になるか分かる前に大きな金額をかけずに済みます。
見合うかどうかは、浮いた時間で判断します。週2時間減れば年およそ100時間。自社の1時間あたりの人件費を掛けて、1人分の年額と並べれば、うちなら見合うかを自分で計算できます。
生成AIの費用は、何にいくらかかる?
生成AIにかかる費用は3つです。ツールの利用料、使い方を覚える人の時間、そして必要になったときだけの外部支援費。このうち見落とされやすいのが、2つ目の人の時間です。
1つ目の利用料から見ていきます。生成AI(文章や表の下書きを作れるAI)の料金は、使う人ごとに1つずつ契約する形が主流です。1人分、2人分と足していく数え方なので、社員全員ぶんをいきなり用意する必要はありません。無料で試せるプランがあり、有料プランの入り口はおおむね1人あたり月数千円台です。ただし金額も機能も各社が頻繁に見直しています。契約の前に、使うサービスの公式の料金ページで最新を確認してください。
料金の形はもう1つあります。使った分だけ払う従量制です。たとえるなら電気やガスの料金と同じで、使う量が増えれば請求も増えます。自社の仕組みにAIを組み込む段階ではこちらを使いますが、最初の一歩では定額のプランで足ります。
2つ目は、使い方を覚える時間です。指示文(AIへの頼み方を書いた文章)の書き方に慣れるまでは、思ったとおりの答えは返ってきません。この時間も会社が払っているコストです。ここからはセンテの見方です。最初の1か月は、1人あたり合計で数時間の慣らし運転を見込んでおくと、計画が狂いません。新しい機械を入れた月に、いつもと同じ生産量を期待しないのと同じ考え方です。
3つ目は、外部に頼むときの費用です。設定や社内ルールづくり、研修を外に依頼する場合にかかります。金額は依頼する範囲で大きく変わるため、見積もりで確かめるものだと考えてください。ここで押さえたいのは、これが最初から必要な費用ではないことです。自社で止まった場面が見えてから頼めば、払う金額も範囲も小さく収まります。研修や設備には補助金が使える場合もありますが、条件は年度ごとに変わります。使えるかどうかは、その年の公募要領で確認してください。
生成AIの費用の内訳
| 費用の中身 | 何にかかるか | 最初の一歩での目安 |
|---|---|---|
| ツールの利用料 | 生成AIサービスの月額。使う人ごとに1つずつ契約する形が主流 | 無料プランで試せる。有料でも1人あたり月数千円台からが中心 |
| 使い方を覚える時間 | 指示文の書き方に慣れるまでの人の時間。会社が払っているコスト | 最初の1か月に、1人あたり合計で数時間の慣らし運転を見込む |
| 外部の支援費 | 設定・社内ルールづくり・研修を外に頼むときの費用 | 最初から必要ではない。自社で止まった場面が見えてから頼む |
生成AIの費用は利用料だけではありません。覚える時間まで数えたうえで、外部の支援は必要になった場面だけ足すのが、無駄の出ない順序です。
最初はいくらから始められる?
0円から始められます。多くの生成AIサービスに無料で試せるプランがあり、自分の会社の文章を実際に打ち込んで、使い物になるかを確かめられます。お金をかけるのは、そのあとで構いません。
無料プランには制限があります。1日に使える回数、選べる機能、扱えるファイルの種類。入力した内容の扱いも、有料プランとは条件が違う場合があります。
手ごたえがあれば、次は1人分だけ有料にします。全社一斉ではありません。いちばんよく使っている担当者から始めれば、月に出ていくのは1人あたり数千円台からです。合わなければ翌月に止められます。
外部の支援は、その次で足ります。使ってみて社内のどこで止まるかが見えてから頼むほうが、頼む範囲も金額もはっきりします。ここまでで実際に出ていくお金は、多くても1人分の月額です。残るのは、その金額に見合う時間が浮くかどうかの計算だけになります。
お金のかけ方の3つの段階
無料プランで手を動かす
自分の会社の文章を打ち込んで、使い物になるかを確かめる。社外に出しても困らない文章から
1人分だけ有料にする
いちばんよく使う担当者から。合わなければ翌月に止める
止まったときだけ外部に頼む
設定や社内ルールで行き詰まった場面が見えてから。頼む範囲も金額もそこではっきりする
この順で増やせば、使い物になるか分かる前に大きな金額をかけずに済みます。
無料で試すときは、入れる情報にだけ気をつける
注意
無料で試すときは、入れる情報にだけ気をつける
取引先の名前や未公開の価格のように、社外に出したくない情報を入れる前に、規約と設定を確認してください。
試す段階では、社外に出しても困らない文章から始めるのが安全です。
回収の考え方:浮いた時間を人件費に換算する
浮いた時間を自分の会社の人件費に換算して、払う金額と並べます。判断はこれで足ります。難しい計算式は要りません。
たとえば、取引先に出す案内文や報告メールの下書きに、担当者が毎週4時間かけている会社があるとします。値上げのお知らせ、納期変更の連絡、月末の報告。文面はどれも似ていますが、毎回ゼロから書き起こしています。この下書きをAIに任せ、人が読んで直してから送る形にして、同じ量を週2時間で回せたとします。
減るのは週2時間です。年50週で100時間。1日8時間で数えると、担当者およそ12日半、2週間半ほどの働く時間に当たります。
ここに自社の金額を掛けます。1時間あたりの人件費を2,000円として計算すると、100時間は20万円ぶんです。この2,000円は例なので、自社の実際の金額に置き換えてください。払う側は、1人分の利用料が年にすると数万円台。この2つを並べれば、うちなら見合うかどうかを自分で判断できます。
気をつけたいのは、浮いた時間がそのままお金に変わるわけではないことです。空いた2時間を何に使うかは会社が決めます。見積もりを1件多く出す、客先を1軒多く回る、後回しにしていた入金確認を片づける。使い道を先に決めておくと、削った時間が数字につながります。それと、AIが書いた文面をそのまま送らないこと。読んで直す時間は残る前提で計算してください。
今(担当者がひとりで書く)
案内文や報告メールの下書きに毎週4時間
似た文面でも毎回ゼロから書き起こす
急ぎの用件が入ると、下書きが夜に回る
AIに下書きを任せた場合
下書きはAI、読んで直すのは人で毎週2時間
浮いた2時間を見積もりや客先訪問に回せる
うまくいった頼み方を残せば、担当が代わっても続く
減るのは書き起こしの時間で、読んで直す時間は人に残ります。この前提で数えると、あとで計算がずれません。
100時間
毎週4時間かけていた案内文・報告メールの下書きが、AIの下書きと人の確認で毎週2時間になった場合の、年間の削減時間の目安。1日8時間で数えると、担当者およそ12日半(2週間半ほど)の働く時間に当たります試算例
試算の前提:週2時間×年50週として試算した例(時間は自社の作業実態に置き換えて計算してください)
この時間を自社の人件費に置き換えた額が、払う年額と比べる物差しになります。
小さく始める順序は、1業務・1人・2週間から
順序を間違えなければ、生成AIで大きな損は出しにくくなります。選ぶのは1業務、契約は1人分、試す期間は2週間。守るのはこの3つです。
業務を選ぶ基準は2つあります。毎週繰り返していること、間違えても取り返しがつくこと。案内文の下書き、議事録の整理、社内資料の要約あたりが向いています。取引先に出す見積もりの金額や契約書の条文のように、間違いが直接損につながるものは後回しにします。
試す前に、その作業に今どれくらいかかっているかを書き留めます。1件あたり何分か、月に何件か。この2つがないと、あとで効果を測れません。2週間たったら同じ数え方でもう一度測り、差を年間に伸ばして、払う金額と並べます。
見合えば、次の業務か次の1人に広げます。合わなければ翌月で止めます。そこで失うのは1人分の月額と、慣らし運転に使った数時間だけです。この身軽さが、小さく始めることの意味です。センテの生成AI導入・実装支援では、どの業務から始めるかの見立てと、この測り方の設計から一緒に進めます。自社だけで進められそうなら、まずは上の順序で試してみてください。
2週間で判断するための4手順
繰り返しの多い1業務を選ぶ
毎週発生し、間違えても取り返しがつく作業から。案内文の下書き・議事録の整理など
今かかっている時間を書き留める
1件あたり何分か、月に何件か。始める前に数えておく
無料プランか1人分の有料で2週間試す
全社一斉に契約しない。よく使う担当者が実際の仕事で使う
測り直して、広げるか止めるかを決める
差を年間に伸ばし、払う年額と並べる。合わなければ翌月で止める
合わなかったときに失うのは1人分の月額と数時間だけ。だから、迷っているより試したほうが早く答えが出ます。
