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AI活用2026.08.03

ChatGPTの社内ルールひな形:そのまま使える1枚と書き方

ChatGPTの社内ルールとは、どの仕事に使ってよく、何を入力してはいけないかを会社として決めて、社員がその場で判断できる形にまとめた取り決めです。この記事では、そのまま使えるひな形の全文をこのページに載せます。ダウンロードも会員登録も要りません。7つの条文のうち自社の事情に関わる3か所を書き換えれば、その日のうちに配れます。ただし、1枚を配ることと、それが守られることは別の話です。ひな形に加えて、書き換え方と、配ったあとの伝え方・見直し方まで整理します。なお、ここに載せるのは例です。正式な社内規程として運用する場合は、弁護士など専門家の確認を受けてください。

Summary / この記事の要点

ChatGPTの社内ルールのひな形を、登録もダウンロードもなしに全文掲載しています。目的と対象、入れてはいけない情報、使ってよい業務、出力の確認、アカウントと設定、相談先、見直しの7条です。

第2条の入れてはいけない情報を自社の書類名に降ろし、加えて、使ってよい業務、アカウントの決め方、相談先の個人名の3か所を書き換えます。禁止だけを並べたルールは、会社に言わずに使う「野良利用」を生みやすくなります。

配ったあとに効くのは、10分の説明と質問の受け皿の2つ。内容が固まってきたら、JDLAの「生成AIの利用ガイドライン」で抜けを補い、専門家の確認を受ける順番が回りやすくなります。

そのまま使える社内ルールのひな形(全文)

以下がひな形の全文です。A4一枚に収まる分量にしてあります。【 】の部分に自社の言葉を入れれば、そのまま配れます。

第1条(目的と対象) このルールは、当社で働く人がChatGPTなどの生成AI(頼むと文章や案を作ってくれるAI)を仕事で使うときの守りごとを定めます。雇用の形にかかわらず、当社で働くすべての人に適用します。社外の協力先(業務委託など)に守ってもらう場合は、契約で取り決めます。使うのは、会社が認めたアカウントに限ります。

第2条(入れてはいけない情報) 次の情報は、ChatGPTの入力欄に貼り付けません。ファイルとして読み込ませることも同じく禁止します。(1)お客様の氏名・住所・電話番号・メールアドレスが分かるもの(お客様名簿、注文書、問い合わせメールの原文など)。(2)取引先から預かった資料(図面、仕様書、見積依頼の内訳、秘密保持契約を結んで受け取ったもの)。(3)まだ公表していない自社の数字(仕入単価、原価、値付け、決算前の試算表、来期の計画)。(4)従業員の個人に関する情報(履歴書、給与、健康診断の結果、人事評価)。(5)IDとパスワード、外部サービスに接続するための鍵にあたる情報(APIキーと呼ばれる合鍵など)。判断に迷うものは入れず、第6条の相談先に確認します。

第3条(使ってよい業務) 次の業務では使ってよいものとします。(1)社外に出しても差し支えない文章の下書き(案内文、社内向けの通知、募集要項のたたき台)。(2)自分が書いた文章の読みやすさの手直し。(3)公開されている情報の下調べ。(4)会議メモの整理と要点出し(第2条に当たる名前や数字を伏せたうえで)。採用・与信・人事評価など、人に影響する決定そのものは任せません。ここに書かれていない業務で使いたいときは、第6条の相談先に相談してから使います。

第4条(出力の確認) ChatGPTが作った文章や数字は、下書きとして扱います。そのまま社外に出しません。使う前に、担当者が三つを確かめます。事実と数字が社内の資料と合っているか。会社名・人名・日付に誤りがないか。そのまま出して失礼や誤解が生まれないか。確認は担当者が行い、誰が確認したかを記録に残します。

第5条(アカウントと設定) 業務では、会社が用意したアカウントを使います。個人で契約したアカウントに会社の仕事の情報を入れません。パスワードは他の人と共有しません。退職・異動のときは、第6条の相談先の担当がアカウントを止めます。入力した内容がどう扱われるかは、契約するプランや設定によって変わることがあります。学習に使わせない設定が用意されている場合は、その設定を有効にします。導入するときと、少なくとも年に一度は、提供元の公式ページで最新の内容を確認します。

第6条(困ったときの相談先) このルールの読み方や、入れてよいか迷ったときの相談先は【  部・    】とします。相談は業務時間内にしてかまいません。入れてはいけない情報を入れてしまった、確認前の文章を出しかけたといった出来事は、すぐに共有します。速やかに報告した場合、報告したこと自体を理由に不利益な取り扱いはしません。早く分かるほど、打てる手が増えます。

第7条(見直し) このルールは、半年に一度のほか、次のことが起きたときに見直します。使うツールやプランを変えたとき。ツールの規約や設定が変わったとき。社内で新しい使い方が広がったとき。ヒヤリとしたことが起きたとき。変えたときは、いつ何を変えたかを末尾に一行で残します。

(制定日    年  月  日 / 改定の記録:          )

条文を7つに絞ったのは、読まれる分量を優先したからです。網羅性を上げるほど、現場は読まなくなります。情報漏えいをなぜ防ぐのか、線引きの考え方そのものは別記事「中小企業の生成AI 情報管理・社内ルールの作り方」で扱っているので、根っこから知りたい方はそちらと合わせて読んでください。

このひな形は例です

注意

このひな形は例です

ここに載せた条文は、中小企業が最初に決めておきたい内容をまとめた例です。会社によって扱う情報も業務も違うため、白紙から作るのではなく、この7条を土台に自社の書類名や部署名へ置き換えて使ってください。

就業規則の一部にするなど、正式な社内規程として運用する場合は、弁護士など専門家の確認を受けることをおすすめします。

入れてはいけない情報は、どこまで具体的に書く?

自社で実際に使っている書類の名前まで降ろして書きます。「個人情報」「機密情報」といった一般語だけでは、現場は手元の紙がそれに当たるかどうかを判断できないからです。

たとえば「お客様の個人情報」と書かれていても、注文書の控えがそれに当たるのか、問い合わせメールをコピーして貼るのはだめなのか、その場では決められません。ところが「お客様名簿のExcel、注文書、問い合わせメールの原文」と書いてあれば、目の前の紙を見て判断できます。同じ内容でも、書き方でルールの効き目が変わります。

業種ごとに第2条へ書き入れる書類の例を、この章の表にまとめました。自社の棚や共有フォルダにある名前で置き換えてください。

書き出すときのこつは、五つ以内に絞ることです。思いつくかぎり並べたくなりますが、項目が増えるほど、どれも同じ重さに見えて読まれなくなります。まず自社で事故になったら困る順に五つ選び、一年運用して一度も出番がなかった項目は落とします。

それでも線を引ききれない場面は必ず残ります。そのための目安を一行だけ添えておくと、現場は迷いにくくなります。その紙をそのまま社外の人に渡せるかどうか。渡せないものは、ChatGPTにも入れない。判断に迷った時点で第6条の相談先に聞く、と決めておけば、その場の思い込みで進む場面が減ります。

第2条に書き入れる書類の例(業種別)

業種の例自社の言葉に置き換えた書類の例
製造・加工取引先から届いた図面、部品の単価表、不良の報告書
建設・工事施主の連絡先が載った工事台帳、見積の内訳、下請けとの契約書
士業・コンサル顧問先の決算書、相談メールの原文、申告書の控え
小売・飲食会員名簿、仕入の単価表、クレーム対応の記録

毎日社内で呼んでいる書類の名前まで降ろすと、現場は手元の紙を見て判断できます。

禁止だらけのルールは、なぜ守られないのか?

守られないルールに共通しているのは、禁止の多さではなく、使ってよい場面が書かれていないことだと私たちは考えています。禁止だけが並ぶと、読んだ人が選ぶのは「使わない」ではなく「会社に言わずに使う」のほうになりやすいからです。

会社が把握していない個人アカウントでの利用(野良利用と呼ばれます)が増えると、何を入力したのかを会社が追えなくなります。設定を確認できず、担当者が辞めたあとに何を渡したのかも分かりません。禁止を増やしたのに、目の届く範囲はかえって狭くなる。これは、その仕事にAIを使うと目に見えて速いことと、社内に使ってよい道筋がないことの2つがそろったときに起こります。

第2条の書類名は、前の章のとおり自社の呼び名に置き換えます。それに加えて自社の言葉に直すのは3か所です。第3条の使ってよい業務、第5条のアカウントの決め方、第6条の相談先の名前。

第3条は、禁止事項を並べるより先に、使ってよい業務を名指しで2つか3つ書きます。「文章の下書き」ではなく「見積書に添える送り状の下書き」と自社の業務名で書けば、読んだ人はその日の仕事に当てはめられます。書ききれない業務は出てくるので、「ここに無い業務は相談してから」という受け皿を一行添えておきます。第5条は、道具の仕様が混ざるので書き方に注意が要ります。ルールに具体的な設定名やプラン名を書き込むと、仕様が動いたときにルールごと古くなります。「提供元の公式ページで確認し、学習に使わせない設定があれば有効にする」という書き方にしておけば、仕様が変わってもルールは生き残ります。

この3か所のうち、最初に埋めるのは相談先です。第6条の【 】を空欄のまま配らないこと。名前が入っていないルールでは、相談は起きません。役職名より個人の名前で書くほうが、現場は声をかけやすくなります。誰にするか決めきれないうちは、社長の名前を入れておいても機能します。むしろ、経営者が窓口に立っているほうが「聞いてよいことなのだ」と伝わります。

禁止だけを並べた1枚

「機密情報の入力を禁止する」とだけ書いてある

使ってよい仕事の例がない

相談先が役職名だけで、誰に聞けばいいか分からない

読んだ人は、使わないか、会社に言わずに使うかを自分で選ぶ

使ってよい場面から書いた1枚

自社の業務名で「これに使えます」と書いてある

入れてはいけない情報は5つ以内に絞ってある

窓口が実名と連絡先で書いてある

迷った人が、相談してから使える

禁止の数ではなく、使ってよい道筋があるかどうかで、守られ方が変わります。

自社用に必ず書き換える3か所

第3条:使ってよい業務

名指しで2つか3つ。「ここに無い業務は相談してから」の受け皿を添える

第5条:アカウントと設定

設定名やプラン名を書き込まず、公式ページで確認する手順として書く

第6条:相談先の名前

役職ではなく個人名。空欄のまま配らない

この3か所さえ自社の事情に合わせれば、残りはひな形のままで動き出します。

配ったあとに効くのは、伝え方と質問の受け皿

配ったあとに効くのは2つだけです。最初にどう伝えるか、そして質問が来たときにどこで受けるか。この2つがないと、1枚は配った週のうちに机の中へ入ります。

伝え方には順番があります。全員に配る前に、すでに使っている数人へ先に見せて直してもらいます。現場の言葉と合っていない項目は、この段階でだいたい見つかります。全員への説明は10分で足ります。読み上げるのではなく、画面を出して「この頼み方はここまで、これは入れない」を実際に見せます。話し始めるのは、使ってよい仕事からです。最初の10分で「これは使っていいんだ」と伝わるかどうかが、その後の1か月を決めます。

受け皿のほうは、質問の置き場所を1つ決めるだけです。チャットの部屋を1つ作ってもいいし、窓口担当への直通でも構いません。大事なのは、答えをその場で消さずに1か所へ貯めることです。月末に見返して、同じ質問が2回来ていたら、ひな形に1行足します。質問が集まるほど、ルールは自社のものになっていきます。

野良利用の兆しは、雑談のほうに先に出ます。「家のパソコンでやったら早かった」という会話や、いつまでも上がってこない会社アカウントの申請。こうした声が聞こえたら、注意する前に窓口へ来てもらいます。個人アカウントから会社のアカウントへ移ってもらうときは、移行の期限を一行決めておくと、うやむやになりません。ひな形の第6条に「報告したこと自体を理由に不利益な取り扱いはしません」と書いたのは、このためです。責められると分かっている相談は、来ません。

ルールが守られる状態の次にくるのは、実際に業務で使われて成果につながる状態です。一部の人しか使わない状態をどう抜け出すかは、別記事「生成AIの社内定着」で扱っています。

配ってから最初の1か月

01

先に、使っている数人に見せる

現場の言葉と合っているかを直してもらう

02

10分の説明を1回。画面を見せる

使ってよい仕事から話し、入れない情報は後で

03

質問の置き場所を1つ決める

答えをその場で消さず、1か所に貯める

04

月末に、2回来た質問を1行足す

配った1枚を、質問で育てる

配った日が完成ではありません。最初の1か月で1枚を育てます。

一枚から育てて、正式な社内規程にする

一枚で運用しながら困りごとを書き足し、内容が固まってから専門家に見てもらう順番をおすすめします。最初から完成形の規程を作ろうとすると、たいてい配る前に力尽きます。使われないまま棚にある規程は、無いのとほとんど変わりません。

条文に厚みが要る段階まで来たら、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が公開している「生成AIの利用ガイドライン」が下敷きになります。2023年5月1日に公開され、最新は第1.1版(2023年10月)です。組織が自由に修正して使うことを前提にしたひな形で、無料で読めます。会員登録も要りません。別冊として、画像生成AI向けの「画像編」も2024年2月に公開されています。本編は公開から時間が経っているぶん、その後に広がったツールや使い方は自分たちで足す前提で使うのが現実的です。この記事の一枚で運用を始めて、たまってきた困りごとをJDLAのひな形と突き合わせると、自社に抜けている論点が見つけやすくなります。

就業規則や雇用契約と結びつける段階、たとえばルール違反をどう扱うかを書く段階では、社会保険労務士や弁護士に見てもらってください。ここは会社ごとの制度に踏み込む話なので、ひな形の流用では危ないところです。逆に言えば、そこに至るまでは自社の手で進められます。

手間と効果も見ておきます。一枚を作るのにかかるのは、自社の書類名を書き出す作業と、10分の説明くらいです。一方で、線引きがないまま迷う時間は静かに積み上がります。仮に1人が週10分、これを入れてよいのか迷って手を止めたり、上長に聞きに行ったりしているなら、10人で年におよそ83時間です。元が取れるかどうかは会社によって違いますが、自社の人数と迷いの頻度を当てはめれば、比べる材料は自分で作れます。

一枚から始めて育てる順番

01

第2条を自社の書類名に書き換える

事故になったら困る順に五つ。棚や共有フォルダにある名前で書く

02

相談先の名前を入れて配り、声で読み合わせる

配って終わりにせず、使い始めに一度その場で説明する

03

出てきた困りごとを一か所に集めて追記する

「これは入れてよいのか」という質問がそのまま条文の材料になる

04

内容が固まったら専門家に確認してもらう

就業規則や違反時の扱いに踏み込むときは社会保険労務士・弁護士へ

完璧な規程を先に作るより、運用しながら条文を太らせるほうが中小企業では続きます。

83時間

1人が週10分、AIに入れてよいか迷って手を止めている場合に、10人分で1年に積み上がる時間の目安。一枚を作る手間と並べるための材料です試算例

試算の前提:週10分×10人×50週として試算した例

迷う時間は請求書に載りませんが、確かに使われています。

Next / 次の一手

ChatGPTの社内ルールは、長い規程を用意する前に、一枚のひな形を配るところから始められます。この記事の7条を下敷きに、第2条の入れてはいけない情報を自社の書類名に置き換え、第3条に使ってよい業務を2つか3つ名指しし、第5条のアカウントの決め方を自社に合わせ、第6条の相談先に個人の名前を入れれば、その日のうちに配れる形になります。配ったあとは、10分の説明と、質問を1か所に貯める受け皿があれば動き始めます。見直しは半年に一度のほか、ツールや規約が変わったとき、ヒヤリとしたことが起きたときに。ここに載せたのはあくまで例です。入力した内容の扱いはプランや設定、時期によって変わることがあるので、導入時と見直しのたびに提供元の公式ページを確認してください。正式な社内規程として運用する段階では、弁護士など専門家の確認を受けることをおすすめします。

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